遠洋漁業基地として発展してきた気仙沼。その漁船員たちが帰港し、まず口にしたいものは何より肉でした。その欲求を満たすため、漁業最盛期の昭和30年頃、市内の南町地区に「助六」というお店が開店。三重県出身の助六のご主人は、元々うなぎ屋を経営していましたが、当時気仙沼に漁船で来ていた知人から、気仙沼は漁業が盛んで大変景気がよく、商売をするのに良いと聞き気仙沼へ移りました。
その後彼は、漁船員の知人と仕込みで寄った市内の精肉店で自家用(まかない用)のホルモンをご馳走になり、これは商売になると思いつき、洗い方と味の付け方を教えてもらったのがホルモン「助六」へ至った経緯と言われています。だいぶ昔から、ホルモンは食べ方と美味しさが理解されず食されてはいませんでしたが、市内のとある精肉店が、韓国の人から味付けを教わったものが気仙沼ホルモンの味の基本となり、現在の味噌にんにくになったようです。
味噌にんにくの味付け
ホルモンといえば、味付けは塩やタレなど色々ありますが、気仙沼ホルモンは味噌とにんにくで味付けされた気仙沼独自のものです。この味付けは一度食べたらクセになる、非常にインパクトのあるものです。各ホルモン店や精肉店の味付けに個性はありますが、丁寧に洗ったホルモンでにんにく味噌というのは変わりません。
豚ホルモンであること
気仙沼ホルモンは、豚の生のモツ(タン、ハツ、ガツ、レバー、小腸、大腸)をミックスしたものを独特の味噌で味付けし、焼いて食します。仙台から以南ではモツの約90%はゆでたものですが、気仙沼では昔から生のホルモンを焼いて食べています。生で焼くことにより、ホルモン本来のうまみを味わうことが出来るのです。
千切りキャベツ&ウスターソース
キャベツのシャキシャキした食感と味噌にんにくの香ばしい味付けはまさに絶妙の組み合せです。キャベツは酸性である肉類を体内で中和する作用もあり、漁船員の野菜不足を補うために一緒に食べるようになったと言われています。気仙沼ホルモンは千切りキャベツを小皿にとり、そこにお好みでウスターソースやしょうゆをかけて食べます。